里親制度の光と闇

里親制度を利用して子どもを養育しようとお考えの方、いろいろと里親制度について調べている方、ここでは里親制度の抱える「光と闇」について紹介していきたいと思います。ぜひ最後までお読みください。

里親制度とは、様々な事情により実親と子どもが暮らせない状況で、実親に代わって愛情を持った里親のもとで養育していこう、という仕組みです。日本の里親制度には、明るい側面と暗い側面が存在します。

※10月4日は「里親の日」で、1950年に都道府県知事に対して里親制度の運用について通知がなされた日です。当初は戦争孤児のために整備された制度でした。ちなみに児童養護施設は、聖徳太子が設立した悲田院が最初と言われています。

光の側面

<家庭養育優先>  日本では施設養護(子どもを施設で預かり専門のスタッフが養育を担当する)が圧倒的に多く、里親委託率もまだまだ諸外国に比べ低いため、改善の余地ありと批判されています。しかし、2016年の改正により、温かい家庭で愛情を持って養育してもらう里親制度を優先することとしており、里親委託率が上昇しています。

特別養子縁組を検討しつつ里親も検討しているご家庭でしたら、ぜひ研修に参加して里親登録をされるべきだと思います。

闇の側面

里親の数の不足>  日本全国におよそ4万5000人の親と暮らせない子どもたちがいますが、そのうちの2万6449人が児童養護施設に身を寄せています。一方、里親に委託された子どもの数は5190人に留まっています。里親委託率は上昇して来ていますが、受け入れる里親がまだまだ不足している状況です。

金銭的なこと>  里親制度で子どもを預かった場合、養育手当が支払われます。子どもの食費・衣服・習い事など子供のためなら何に使っても良いお金ですが、多少面倒なことがあります。

・子供にかかった分の領収書はすべて保管し、毎月まとめて提出しなければならない。

・確定申告する必要がある。

確定申告ですが、給料等の収入と別で入ってくるお金なので確定申告が必要になります。子供に使ったお金は必要経費となります。もし残った分があれば雑所得になりますので、確定申告をする必要があります。残りがなければしなくても大丈夫です。(児童手当は対象になりません)。 

愛着障害>  愛着障害とは、「幼少期に特定の母性的人物と間に形成される、人との情緒的な絆がうまく形成できなかったことから生じる問題」を指します。

そして愛着障害を抱える子どもが里子として来ることがほとんどです。

お試し行動やウソを繰り返すことでしょう。「お試し行動」とは相手を困らせる行動(おねしょなど)を通じて、自分をどの程度まで受け入れてくれるか、愛情を確かめるための行動です。また子どもは自分に注目してほしくてウソをつくことが多いです。

本当に小さいころ愛情をかけてもらえなかった子どもです。本当の親のように時間をかけて「愛着の絆」を育んでいくしか方法はありません。

慣れない育児に疲れ果てる>  子どものいない家庭で、ある日から急に3歳児を預かることになったとします。子どもは「エネルギーお化け」です。肉体的に疲労困憊でストレスもMax状態になるでしょう。

養親が子育てで体を壊したりすることがないように、養親が休める方法もあります。別の里親さんにお金を払って一時的に預かってもらうという方法です。(筆者の家でも、夫婦共通の友人の結婚式に出席するために一度使ったことがあります。大ベテランの里親さんに預かってもらって、こっちも安心出来ました)。

制度上の悩み>  大都市の児童相談所などでは、職員が虐待対応業務におわれているため、里親委託への十分な関与が難しいこともあります。(筆者が住んでいる地方都市ではそんなことはありません)。

最後までお読みいただきありがとうございます。

確定申告はどうしてもやらなければなりませんが、それ以外は助けてくれる制度もあります。ワーワー大騒ぎする子どもの相手は大変ですが、一緒に生活していると大変さを上回る楽しいことがあります。

もし里親制度に興味が出てきたよ、という方は、ぜひ一度児童相談所へ連絡していることをお勧めします。

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